なぜ『考えるよりも行動すること』が時に致命傷になるのか

「もう考えるのはやめよう。とにかくやってみるぞ!」

Aさんは意を決して、新規プロジェクトの実行ボタンを押しました。

考えすぎて何も進まない日々から抜け出すため、行動第一をモットーにしたのです。

確かに最初は順調でした。小さな失敗も経験値として蓄積され、プロジェクトは着実に前進していきました。

しかし3ヶ月後、大きな問題が発生します。

「えっ、これって全部やり直しですか…?」

事前の設計が不十分だったため、システムの根幹部分に手戻りが必要になったのです。

工数は当初の3倍に膨れ上がり、チームのモチベーションは地に落ちました。

実は『考えるよりも行動しろ』というマインドセット、使い所を誤ると大きな落とし穴になり得るのです。

今日は僕の経験も交えながら、このマインドセットの活用法について詳しくお伝えしていきます。

『考えるよりも行動しろ』が有効なケース

まず、このマインドセットが特に効果を発揮するケースについてお話しします。

1. 未経験の分野に挑戦するとき

新しいことを始めるとき、考えすぎると尻込みしてしまいがちです。

アメリカの心理学者アルバート・バンデューラの研究では、「完璧主義的な思考が行動の抑制につながる」という結果が示されています。

未経験の分野では、考えても正確な予測はできません。

むしろ、小さな行動から始めて、フィードバックを得ながら進むことが効果的です。

2. アイデアの検証段階

「理想的なプランができてから始めよう」と思いがちですが、実はそれが最大の落とし穴になることもあります。

シリコンバレーの起業家エリック・リースが提唱する「リーンスタートアップ」の考え方では、最小限の機能を持つプロトタイプを素早く作り、市場の反応を見ることを推奨しています。

要注意!行動重視が裏目に出るケース

しかし、「考えるよりも行動」が必ずしもベストな選択とは限りません。

1. セキュリティ関連の判断

例えば、メール配信でのBCC設定忘れ。一度起これば取り返しのつかない情報漏洩につながる可能性があります。

IBMの調査によると、データ漏洩による損失額は平均して約4億円にも上るとされています。

僕もBcc作業をする時はとても慎重になりました。ミスったら怖いですからね^^;

2. 規模が大きくなった時

小規模なうちは問題なくても、規模が大きくなると致命的な問題となることがあります。

例えば:

  • マニュアルのフォーマット設計
  • システムのアーキテクチャ
  • 組織の構造設計

これらは後から変更しようとすると、莫大なコストが発生する可能性が高い項目です。

コストというのはお金もそうですが、時間もあります。

特に結構作ってからまた1からやり直しというのは精神的ダメージがとても大きくなります。

とても小さな例えで申し訳ないですが、5000文字くらいのブログ記事を書き終わって、「やっと終わった〜」と一息ついたら、なぜかそのブログ記事が消えたみたいな感じです。

せっかく頑張って書いたのに、全てが水の泡になると喪失感がハンパないです。

精神的ダメージも大きいのと、同じ内容を再現できないという意味で、時間的な労力を多大にかけるので、モチベーションがめちゃくちゃ下がることもリスクといえます。

フェーズに応じた最適なアプローチ

では、どうすれば良いのでしょうか?僕の経験から、以下のような使い分けをお勧めします。

初期フェーズ:行動重視

  • 未知の領域の探索
  • 市場ニーズの把握
  • スキルの習得段階

成長フェーズ:熟考と行動のバランス

  • プロセスの最適化
  • スケーラビリティの確保
  • リスク管理の強化

成熟フェーズ:計画的アプローチで考えることを優先

  • 大規模な展開
  • セキュリティ対策
  • 組織設計

実践のためのチェックリスト

以下の質問に「はい」と答えられる項目が多いほど、慎重な計画が必要です。

  1. 失敗した場合のリスクは大きいか?
  2. 後からの修正コストは高額になるか?
  3. 多くの人や組織に影響を与えるか?
  4. セキュリティや法的な問題に関係するか?
  5. 長期的な影響があるか?

参考になれば幸いです。

まとめ:賢明な使い分けが成功の鍵

「考えるよりも行動」は、特に初期段階では非常に有効なマインドセットです。

僕自身、結構このマインドでやってきたので、うなづける部分はたくさんあります。

しかし、プロジェクトや組織の成長に合わせて、適切なバランスを取ることが重要です。

実は僕も、マニュアル作成の経験から、この教訓を学んでいます。

最初は「とにかく作ってみよう」と始めました。

ですが、どのフォーマットがいいか定めることに時間がかかりました。

なので、中々マニュアル作成が進まなかったのですが、結果的にこれはよく考えて正解でした。

多分、考えなしに作ってたら、だいぶ作った後でこっちの方がいいとなって、大幅に手戻りしてとてつもない精神的ダメージが僕を襲うことになっています。

この経験から、フェーズに応じたアプローチの重要性を学びました。

あなたも今の状況を見直してみませんか?

まずは自分のプロジェクトやタスクがどのフェーズにあるのか、チェックリストを使って確認してみてください。

そして、それに応じた最適なアプローチを選択することで、より効率的で確実な成果を上げることができるはずです。

行動と熟考、この2つのバランスを取れるようになったとき、僕たちのプロジェクトは真の成功への道を歩み始めると信じています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

追伸:
より詳しい実践方法や具体的なケーススタディについて知りたい方は、ぜひコメントでお知らせください。実務での経験に基づいた、より具体的なアドバイスをさせていただきます。

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