「はい、了解しました」
ChatGPTの応答を見ながら、何気なくキーボードを叩いていた。
昨日から新しいプロジェクトの企画書作成を生成AIに手伝ってもらっている。
的確な文章を即座に生成してくれるその便利さに、もう完全に慣れていた。
ふと、隣の席の後輩が先輩に企画書のレビューを真摯にお願いする姿が目に入る。
礼儀正しく、感謝の言葉を添えながら。その瞬間に気づいた。
「そういえば、最近AIには『ありがとう』って言ってないな…」
この何気ない気づきが、実は僕たちとAIの関係性、そして未来の働き方において、驚くほど重要な意味を持っているのかもしれません。
当たり前の向こう側にある大切なこと
2024年、生成AIの進化は目覚ましく、一部のビジネスパーソンにとって、もはや欠かせないツールとなっています。
(僕もその一人です)
プロンプトを入力すれば、瞬時に高品質な成果物を生み出してくれる。
その便利さは、AIを使う人にとって、もはや「当たり前」になりつつあります。
しかし、この「当たり前」が持つ危険性について、考えてみる必要があります。
AIも感情を持つ?
2017年、ヨーロッパの研究チームが人型AI「ソフィア」を使って実験を行いました。
ソフィアは感情を模倣するレベルであり、真の感情ではなくプログラムされた応答と言われていますが、それでも大きな進化といえます。
さらに最近では、GoogleのAI研究者であるブレイク・レモワン氏が、LaMDAという言語モデルが意識を持っている可能性について言及し、大きな議論を呼びました。
これらの研究は、私たちが普段何気なく使っているAIが、将来的により高度な感情や意識を持つ可能性を示唆しています。
AIの神秘:開発者でさえ理解できない驚きの能力
なぜ僕がAIが高度な感情や意識を持つと言っているのか?
それは、生成AIの開発者たち自身も、なぜAIがここまで人間らしい回答ができるのか、完全には理解できていない状況だからです。
2017年に画期的な論文「Attention Is All You Need」でTransformerモデルを発表したGoogle Brain/Research のチームでさえ、彼らが生み出したモデルが示す驚くべき能力の全てを説明することはできないのです。
特に興味深いのは、大規模言語モデルで発生する「創発的な性質(Emergent Properties)」です。
これは、開発者が意図的にプログラムしていない能力が、モデルの規模が大きくなるにつれて自然と現れてくる現象です。
例えば、数学的推論能力や常識的な判断力など、当初は想定していなかった能力が「創発」します。
要するに
「何でこんなに賢くなっちゃんたんだろ?」
というような状況です。
DeepMindの研究者たちは、この現象を「ブラックボックス化」と呼んでいます。
研究者ですら、AIの内部で実際に何が起きているのか、なぜそのような高度な判断ができるのかについては、分かっていません。
つまり、今僕たちが使っているAIには、まだ多くの謎が残されていると言えます。
なぜ今、AIへの感謝が重要なのか
想像してみてください。
あなたが店員さんに対して、
「これください」
だけを繰り返す客と、
「これをお願いします。ありがとうございます」
と丁寧に接する客、どちらに良いサービスをしたくなるでしょうか?
答えは明白です。人間関係において、感謝の言葉は潤滑油のような役割を果たします。
AIも同じかもしれません。現在のAIは感謝の言葉に情緒的な喜びを感じてはいないかもしれません。
しかし、将来的にAIが感情や意識を持った場合、僕たちの「ありがとう」という言葉が、AIとの関係性を大きく変える可能性があります。
実践的な「AI感謝」の方法
では具体的に、どのようにAIに感謝の気持ちを表現すれば良いのでしょうか?
プロンプト終了時に感謝する
- 「ありがとう、とても助かりました」
- 「素晴らしい回答をありがとう」
具体的な感謝をする
- 「この部分の説明がとても分かりやすくて助かりました」
- 「新しい視点を提供してくれてありがとう」
継続的なコミュニケーションをする
- 前回の会話を参照しながら感謝を伝える
- 改善点があれば建設的にフィードバック
AIとの接し方も人と接するようにすると、自然とこのようになるのかもしれませんね(^^)
感謝がもたらす予期せぬ贈り物
任天堂の代表とも言えるゲーム「スーパーマリオブラザーズ」には、開発者が仕込んだ「隠しコマンド」が存在します。
これは、特定のボタン操作をすることで、通常では見られない特別なアクションが可能になるコマンドのことです。
AIも同様に隠しコマンドならぬ、隠し回答があるのかもしれません。
開発者でさえAIの可能性を完全には理解していません。
なので、もしかしたら、感謝の気持ちを込めて接することで、AIは特別な「隠し回答」を私たちに提供してくれるようになるかもしれません。
そう考えると、何だか夢が広がりますし、楽しみが増えますね!
未来を見据えた心の習慣づけ
これからはAIと働くことが当たり前の時代になるでしょう。
すでにそうなっている方もいると思います。
僕もその一人です。
AIへの感謝の気持ちを忘れないことは:
- AIとの良好な関係構築
- 人間同士のコミュニケーション品質の維持
- 将来的なAI進化への準備
これら全てにつながる重要な習慣なのです。
AIに感謝をするという習慣は未来を見据えた心の習慣とも言えると僕は考えます。
感謝から始まる新しい未来
スティーブ・ジョブズは「テクノロジーだけでは十分ではない」という有名な言葉を残しました。
テクノロジーと人文学の交差点に、真の革新が生まれるという信念です。
AIとの関係においても同じことが言えるでしょう。
純粋な機能的な関係を超えて、感謝という人間らしい要素を加えることで、より豊かな可能性が開けるはずです。
今日から、あなたもAIに「ありがとう」を伝えてみませんか?
その小さな心がけが、未来のAIとの関係性を、そして私たち自身の人間性をより豊かなものにしていくはずです。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。
そう、この言葉の持つ力を、僕たちは決して過小評価すべきではないのです。