こんにちは、
今日は日本人が陥りがちな「プロダクトアウト思考」について、話します。
日本は良くも悪くもこの思考になりがちだと思います。
(僕もなんですけどね)
なぜ多くの人がこの思考に陥りやすいのか、その理由と打開策を紹介していきます。
プロダクトアウト思考とは?
まず、改めてプロダクトアウト思考についてお伝えします。
簡単に言えば、「作り手の視点で商品やサービスを開発する」という考え方です。
対義語はマーケットイン思考で、こちらは「顧客のニーズを基に商品やサービスを開発する」というアプローチです。
なぜ日本人はプロダクトアウト思考になりやすいのか?
その背景には、いくつかの要因があります。
1. 日本人特有の職人気質
日本には古くから「モノづくり」の文化が根付いています。
刀鍛冶や陶芸家など、職人たちは自らの技術を極めることに人生をかけてきました。この「極める」精神が、現代のビジネスにも影響を与えていると言えます。
例えば、あるメーカーの開発者が「最高の音質」にこだわって何年もスピーカーを改良し続けたとします。
しかし、一般消費者にとっては「そこまでの音質は必要ない」かもしれません。これがプロダクトアウト思考の典型例です。
もちろん、日本の職人気質があるからこそMade in Japanは海外でも高い評価を得ているという側面がありますので、一概に悪いとも言えません。
2. 誠実さと真面目さのジレンマ
日本人の多くは誠実で真面目です。これは素晴らしい特性ですが、ビジネスの場面では時として足かせになることがあります。
具体的に言えば、「形のないものを売る」ことへの抵抗感です。
例えば、新商品のアイデアだけで先行予約を受け付けるようなケース。
これは欧米では珍しくありませんが、日本人の感覚では「まだ実態のないものを売るのは詐欺まがいではないか」と感じてしまう人も一定数いると思います。
身近な例で言えば、友人に「今度すごいものを作るから、先に1000円払っておいてくれない?」と言われたら、多くの人は戸惑うでしょう。
これと同じ心理が、ビジネスの場面でも働いているのです。
この心理的抵抗があるため、きっちりと商品ができてからでないと販売が
できないという思考になります。
この思考だとテストマーケティングを行う思考にならないので、ビジネスの改善スピードが遅くなったり、タイミングを逸してしまうことになりかねません。
せっかくいいものを作れる技術があるのに、その技術を最大限活かせる状態にならないのは、とてももったいないですよね。
3. 見えない未来への不安
プロダクトアウト思考の背景には、「見えない未来への不安」もあります。
既に完成した商品があれば、それを基に販売戦略を考えられます。
しかし、顧客のニーズを先に探り、それに合わせて商品を開発するアプローチは、多くの日本人にとって不安を感じさせるものなのです。
例えるなら、地図を見ながら目的地に向かうのと、羅針盤だけを頼りに未知の土地を進むのとの違いです。
後者の方が冒険心をくすぐるかもしれませんが、多くの人は前者の安心感を選びがちです。
プロダクトアウト思考から抜け出すには?
では、このプロダクトアウト思考から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか?
僕なりにいくつか考えてみました。
1. 「失敗」を恐れない文化づくり
まず大切なのは、家庭や組織内で「失敗」を恐れない文化を醸成することです。
新しいアプローチを試みる際、100%成功することはありません。
しかし、その過程で得られる学びは非常に価値があります。
例えば、家庭や社内で「クレイジーアイデアコンテスト」のような取り組みを行い、型破りな発想を奨励するのも良いでしょう。
成功よりも失敗の方が学べることは多いとよく言いますが、僕はその通りだと思います。
(失敗はしたくないですけどね^^;)
2. 顧客との対話を増やす
プロダクトアウト思考から脱却するには、顧客との対話を増やすことが不可欠です。
商品開発の早い段階から顧客の声を取り入れることで、的確なニーズ把握ができます。
例えば、プロトタイプの段階で顧客にフィードバックを求めたり、SNSを活用して直接ユーザーの声を集めたりするのも効果的です。
世界的に成功を収めているGoogleは、新しい製品やサービスを開発する際に、「プロトタイプ先行」のアプローチを積極的に採用しています。
例えばGmail。
Gmailの開発過程は、2004年にリリースしてから顧客の声を聞きつつ、進化させていきました。
実はG-mailは5年間もベータ版だったみたいです。
このように完璧ではない状態でもリリースして、顧客の声を聞きつつアップデートしていくことでGoogleは様々な恩恵を受けています。
- リアルタイムのユーザーフィードバック:
実際のユーザーから直接フィードバックを得ることで、本当に必要な機能や改善点を把握できました。
ビジネスにおいて、これは最も重要な恩恵で、ユーザーが不便に感じるところやもっとこうして欲しいという意見が商品を進化させることは多々あります。 - 迅速な改善サイクル:
ユーザーの声に基づいて素早く
機能を改善・追加することができました。
これもとても大きなメリットと言えます。
改善のスピードが早ければ早いほど、商品は進化します。
僕もプロモーションに携わっていますが、改善が早いと、反応が早いうちに良くなったり、申込率や成約率も上がっていくのを経験しています。 - ユーザーとの共創:
ユーザーは自分たちの意見が製品に反映されていくのを目の当たりにし、Gmailの「共同開発者」としての感覚を持つようになりました。
このアプローチにより、Gmailは常にユーザーのニーズに寄り添った進化を続け、今日では世界中で15億人以上のユーザーを持つ主要なメールサービスとなっています。
Googleのこの事例は、プロトタイプを早期に公開し、顧客の声を積極的に取り入れることがいかに重要かを表していると言えます。
完璧な製品を作ってから市場に出すのではなく、改善の余地がある段階でリリースして顧客との対話を始めることで、真に顧客のニーズに合った製品を作り上げることができます。
そうすると、いい商品を開発したのに全然売れなくて、終了してしまうこともなくなり、日本の技術がもっと
活躍できるんじゃないかと思います。
(いい技術が埋もれてしまうことも
少なくなるでしょう)
3. 小さな実験を繰り返す
大きな変革は一朝一夕には起こりません。小さな実験を繰り返し、徐々にマーケットイン思考に慣れていくのが得策です。
例えば、既存商品の一部機能だけを変更して市場の反応を見たり、限定商品として新アイデアを試してみたりするのも良いでしょう。
今はWeb広告で小予算でも見込み客からの反応が取れる時代です。
こういったテクノロジーを使わない手はないでしょう。
4. 楽しさを取り入れる
新しいアプローチへの抵抗感を和らげるには、「楽しさ」を取り入れることが効果的です。
例えば、新商品のリリースを「宝探しゲーム」に見立てて行うなど、遊び心を忘れずに取り組むと、ゲーム感覚になり、抵抗がなくなっていくかもしれません。
まとめ
プロダクトアウト思考からマーケットイン思考への転換は、一朝一夕にはいきません。
なぜなら思考習慣を変えるには
およそ6ヶ月かかると言われているからです。
しかし、顧客のニーズを中心に据えた商品開発は、長期的に見て必ず実を結びます。
そして、これは顧客に媚を売るということではありません。
一流の技術や誠実さの価値を世に広めるために行う戦略です。
日本人の真面目さや職人気質は、決して悪いものではありません。それらの良さを活かしつつ、新しい思考法も取り入れていく。
そんなバランスの取れたアプローチが、これからのビジネスには求められているのではないでしょうか。
そして、日本人には陰陽の考え方もありますし、このバランスの取れたアプローチもできると僕は考えています。
もしかすると、様々な宗教が入り込んでも、全て和を持って尊しとなすの精神で受け入れてきた日本だからこそできるのかもしれません。
あなたの会社や組織では、どのような商品開発アプローチを取っていますか?
プロダクトアウト思考とマーケットイン思考、それぞれのメリット・デメリットを考えながら、バランスよく最適な方法を探っていくことで、日本に合ったビジネスを行うことが可能になると考えています。
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それでは、次回のブログでまたお会いしましょう!
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。